検査と診断
1.基礎体温
基礎体温を測ると、正常排卵周期では13~14日間続く高温期が短縮しているのがわかります。ただし、診断する基準には、高温期が10日未満の時に黄体機能不全とする場合と、12日未満の時に黄体機能不全とする場合があり、確立していません。
また、高温期の体温が安定せず、高温期であるにもかかわらず一時的に体温が低下したり、低温期から高温期への移行がはっきりしないこともあります。
2.血中プロゲステロン値の測定
黄体からのプロゲステロンの分泌が低いかどうかを調べるには、黄体期での血中プロゲステロン値の測定が必要です。10ng/ml未満であれば、黄体機能不全である可能性が高くなります。
3.黄体期の子宮内膜の組織検査
さらに、黄体期の子宮内膜の組織検査を行い、その組織所見が月経周期の日付と合致しているかどうかによって、子宮内膜がプロゲステロンの影響を適切に受けているかどうかを判断することができます。
卵巣機能が低下していることが証明されれば、早期卵巣不全の可能性が考えられます。この証明には、卵巣からの分泌ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の測定はあまり意味がなく、むしろエストロゲンのフィードバックを受ける脳下垂体からの性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の測定が役立ちます。卵巣機能の低下により、フィードバックを受けなくなった脳下垂体(のうかすいたい)からのゴナドトロピン、とくに卵胞刺激ホルモン(FSH)が大きく上昇していることが診断の入り口になります。
卵巣に卵胞が残存しているかどうかは、卵巣の組織検査によって診断が可能ですが、実用的ではありません。実際には、ゴナドトロピンの投与で卵胞の発育がみられるかどうかを判断するのが一般的です。
卵巣における卵胞の周期的な発育と排卵の過程は、さまざまな成長因子の相互作用によって成り立っています。これまで卵巣機能に関する研究は動物実験の知見に頼っていましたが、近年、ヒト卵巣表層上皮と卵巣顆粒膜細胞の不死化細胞系を確立しました。たとえば卵巣機能不全の原因には卵細胞の枯渇と卵胞発育不全の2つがあります。卵胞発育不全患者では、卵や卵胞が存在するにも関わらず発育することができななく、ステロイド産生能を有するヒト卵巣細胞を支持細胞とした卵細胞培養系を確立することによって卵胞発育不全患者の妊娠成立が期待できるかもしれないです。
