診断
痛みの程度と部位から骨盤内炎症性疾患が疑われると、内診などの診察が行われます。子宮頸部から分泌物などを採取し、淋菌感染症やクラミジア感染症にかかっていないかどうかを調べます。他の症状や臨床検査の結果も診断の確定に役立ちます。通常は白血球数の増加がみられます。骨盤部の超音波検査が行われることもあります。これらの方法で診断が確定できない場合や、治療の効果が得られない場合は、へその近くを小さく切開して腹腔鏡を挿入し、腹腔内部を観察することがあります。
卵管が感染すると閉塞を起こすことがあります。閉塞が起こると、液体が閉じこめられるため卵管が腫れます。治療を受けずにいると、下腹部の痛みが続き、不正出血が起こることがあります。感染が腹膜など周辺の組織に広がることもあります。腹膜が感染すると腹膜炎が起こり、腹部全体に突然に激しい痛みを生じることがあります。卵管の感染が淋菌感染症やクラミジア感染症によるものである場合は、肝臓周囲の組織に広がることがあります。このような感染症では、胆嚢(たんのう)の病気や胆石の場合に似た痛みが右上腹部に生じます。この合併症をフィッツ‐ヒュー‐カーティス症候群といいます。
卵管に感染が起きている女性の約15%では、卵管または卵巣に膿がたまって膿瘍(のうよう)ができます。膿瘍が破れて膿が骨盤腔に流れ出すと腹膜炎が起こります。このような状態になると、下腹部に激しい痛みが生じ、その直後に吐き気や嘔吐、著しい低血圧が起きます(ショック状態)。感染が血液に広がり敗血症を起こすと、命にかかわることがあります。になることもあります。炎症の期間が長く重症度が高いほど、また、再発を繰り返すほど、不妊などの合併症のリスクが高くなります。リスクは感染を起こすたびに高くなります。
骨盤内炎症性疾患にかかったことがある女性では、子宮外妊娠(卵管妊娠)の発生率が6~10倍に増加します。卵管妊娠とは、胎児が子宮ではなく卵管の中で成長する状態です。卵管妊娠は母体の生命を脅かします。また、胎児は生存できません。
