男性不妊症の原因
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不妊症の原因は、男性、女性、もしくは両方にあります。精子、排卵、卵管の障害は、それぞれ不妊の原因の3分の1近くを占めています。ごく少数ですが、子宮頸部(しきゅうけいぶ)の粘液に異常がある場合や、原因がはっきりしない場合もあります。したがって不妊の診断ではパートナー双方の十分な診察が必要です。年齢は、特に女性で不妊の1つの要因となります。女性は加齢とともに妊娠しにくくなり、妊娠中の合併症のリスクも高くなります。また、女性では閉経前に不妊の問題を解決する必要があるため、特に35歳以上の女性では時間が限られます。
日本産科婦人科学会では、定期的に夫婦生活があって避妊をしていないのに、2年以上妊娠しない状態を不妊症としています。不妊症はとかく女性側の問題として捉えられがちですが、実際に妊娠するのは女性であっても、妊娠という出来事は女性の卵子と男性の精子が結びついて、初めて成立するものです。不妊の原因は男性にも女性にもほぼ同じ確率であります。
通常1回の射精で出る精液の量は2~3mlで、その中に1億~1億5000万くらいの精子が含まれています。この数が少ないと妊娠しにくくなり、2000万以下だと妊娠は困難といわれます。
精子の少なくなる原因としては、子どものときに"おたふくかぜ"にかかったり、その他の病気で精巣(睾丸)が精子をつくる能力を失った場合や、精巣の上部にあって精子を成熟させる精巣上体(副睾丸)が異常になった場合、あるいは精子の通り道の精管が閉塞している場合などさまざまです。
近年、食生活や生活環境の変化から成人男性の精子数が減少しているという研究結果が報告されており、WHO(世界保健機関)の発表によれば、精子の運動率も20年前と比べて80%から50%にまで低下しています。つまり、元気な精子をつくれない男性が確実に増えているのです。男性不妊症は決して少なくないです。
1.精子形成機能障害:
不妊症の男性側原因のうちで最も多い原因とされており、男性側不妊症の原因の90%を占めます。
正常な精子の数(WHOによる精液検査の正常値)
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| 数 | 精液1ml中に2000万匹以上 |
| 運動率 | 前進運動精子が50%以上 |
| 奇形率 | 15%以下 |
| 生存率 | 75%以上 |
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子減少症:精液1ml中に精子が2000万匹以下
乏精子症:精液1ml中に精子が1000万匹以下
精子無力症:精子運動率が50%以下の状態
精子奇形症:正常形態精子率が30%以下
無精子症:精液中に精子が1匹もいない
精子の運動率や精液中の精子の数に問題がある場合を、精子形成障害といいます。精子形成障害かどうかの判断の一例として、精子の運動率が50%以上、精液1mlあたりの精子の数が2千万以上であることがあげられます。精子には運動性精子と不動性精子がありますが、精液中の精子のうち運動性精子が半分以下だと精子形成障害、そして不妊症の疑いがあります。精子形成障害の中には、無精子症や奇形精子症などがあります。無精子症は、精液中に精子がないというものです。精液中に精子がなくとも精巣中にある人もいます
これらの精子形成障害の原因は、ストレスや染色体異常にあるといわれています。仕事や家庭での様々なストレスが溜まると、精子が作られにくくなり、不妊症になることもあります。
造精機能障害の原因:
1)精巣(精子が産生される器官)の温度が上昇する。
精巣(精子が産生される器官)の温度が上昇するような状態があると、精子の数や運動性が大幅に低下し、異常な精子の数が増えます。高温に晒されたり、発熱が長時間続く病気にかかった場合や、停留睾丸、陰嚢(いんのう)内の静脈瘤(精索静脈瘤)などは精巣の温度を上昇させます。
2)特定のホルモン障害や遺伝病。
特定のホルモン障害や遺伝病も精子の産生を妨げます。ホルモン障害としては、過プロラクチン血症、甲状腺機能低下症、性腺機能低下、副腎(テストステロンなどのホルモンを分泌する器官)や下垂体(テストステロンの分泌を制御する器官)の病気などがあります。遺伝病としては、クラインフェルター症候群などでみられる性染色体の異常があります。これは勃起、射精能力はあるのですが精子を作ることが出来ないというものです。最近では、精子形成障害に環境ホルモンの影響があるという説も出てきています。
3)おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)に伴う精巣炎(耳下腺炎ウイルス性精巣炎)、精巣のけが、工業や環境による有毒物質など。
4)アルコールの過剰摂取、薬物。
アンドロゲン(テストステロンなど)、アスピリン(長期服用時)、クロラムブシル、シメチジン、コルヒチン、コルチコステロイド薬(プレドニゾロンなど)、コ・トリモキサゾール(ST合剤)、シクロホスファミド、マラリア治療薬、エストロゲン(前立腺癌治療に用いられる)、マリファナ、メドロキシプロゲステロン、メトトレキサート、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬(抗うつ薬の1種)、ニコチン、ニトロフラントイン、オピオイド(麻薬)、スピロノラクトン、スルファサラジンなど原因になる薬剤があります。タンパク同化ステロイドの使用は体内のホルモン濃度に作用し、精子の産生を阻害することがあります。アルコールの過剰摂取も精子の産生を低下させる原因となります。
2.副性器障害
精巣上体や前立腺、精嚢腺などの副性器が炎症で、精子の運動率を低下させている状態です。副性器障害特徴として、精液中に白血球が増加します。副性器障害の主な原因は、クラミジアや結核菌の感染です。
3.精管通過障害
精管とは、精子を体外に出す際に通る管のことです。精管通過障害は精子形成障害よりは割合が低いですが、男性の不妊症の代表的な原因のひとつです。
1)精索静脈瘤
2)閉塞性無精子症
3)精巣上体炎
4)膿精液症
5)逆行性射精
精管通過障害には、閉塞性無精子症や逆行性射精などがあります。閉塞性無精子症とは、精巣では精子が作られているのに精子が体外へ出ることが出来ない状態です。このままでは射精しても妊娠に至れず、不妊症になってしまいます。
閉塞性無精子症の主な原因は、先天的なものと小児ヘルニアの手術による後遺症だといわれています。治療は精管のふさがっている部分を手術で除去することですが、手術が難しい場合は、人工授精や体外受精を行なうこともあります。
ときに、精子を含む精液が通常と逆方向に流れ、ペニスではなく膀胱(ぼうこう)に流れこむことがあります。この障害は逆行性射精と呼ばれ、糖尿病の男性や骨盤部手術(前立腺摘出など)を受けた男性に多くみられます。逆行性射精があると不妊になることがあります。精子はつくられているのに、精子の輸送路である精管に何らかの問題があるため、うまく精子が運ばれない状態です。先天性のものや病気や事故の後遺症などによるものがあり、状態によっては、手術で改善することが出来ます。
4.性機能障害
性機能障害は性交時に勃起しないやうまく射精できないなど、性行為に何らかの障害がある状態です。身体的な原因だけではなく、ストレスや心の傷などメンタル面が原因になっていることも多々あります。ストレス社会と言われる現代、性行為障害は年々増加の傾向にあります。
性機能障害の種類
1)勃起障害(ED)
勃起が起こらず、性行為が行えない状態。糖尿病などから起こる身体性のものと、ストレスや緊張などから起こる精神性のものがある。
2)射精障害
勃起は起こるが射精出来ない状態。誤ったマスターベーションにより膣の刺激で射精できなくなってしまう「膣内射精不能」、射精に至るまでの時間が早過ぎて膣内でうまく射精が行えない「早漏」、逆に遅過ぎてうまく射精が行えない「遅漏」、膀胱に射精してしまう「逆行性射精」などがある。
一般的には女性側に不妊症の原因があると思われがちですが、男性にも原因がある場合が非常に多くなってきています。どのような障害が不妊症を引き起こすのかを理解して、治療に望むこころが重要です。
